ポルトマツモトは長野県松本市の温泉街・浅間温泉にある自称・複合施設である。
その中でも注目すべきは浅三荘である。
浅三コーポと浅三荘、2棟の建物でポルトマツモトを形成しているのであるが、浅三荘は「木賃アパート」という建物であり、木賃アパートは省は2~40年代に雨後の筍のように都市部でぽこぽこと大量に建てられた建物なのである。
これは戦後の人口増や都市部への人口流入により、住宅不足が深刻化したため民営は木賃アパート、公営は団地、という形で急いで住宅供給をした結果である。
そんな一時代を築いた木賃アパートだが、「住宅需要をまかなう」ことに特化したため、作りは非常に安普請なのである。
が、一時代築いた建物というのも事実。
ポルトマツモトはそんな建物を守りたいと思ったのである。たぶん100年後には国宝になると信じて。
そして、その木賃アパートを浅間温泉を好きになってもらう拠点にしたいと考えた。
そんなわけで、無い袖を振りまくって、いろいろ借金した挙句、改修工事をすることになったのだ。もはやイチ貧乏個人がやる所業では無いかもしれないけれど、古い建物(特に昭和。高度経済成長期の誰も価値を見出していない建物)を見ると守りたくなっちゃうのである。ある意味変態である。
で、木賃アパート「浅三荘」もご多聞に漏れず守りたくなっちゃったわけだ。浅三荘を見たとき「ぎりぎりや!」と思った。10年くらい前までは人が住んでいたみたいだが、それでも当時もかなり過酷な住環境だったことがうかがわれる。
かなり劣化が進んでいたからだ。
が、まだ間に合うとも思ったのである。
でも、このまま朽ちて行くんだろうなーとみんなは見放していた建物。だれもやらなきゃ木賃アパートはどんどん消えてってしまう。
ポルトがやるしかないじゃない・・・そう誰も求めていない使命感に駆られたのである。
と、いうことで浅三荘を守るべくプロジェクト(というのもおこがましい)が始まったのだ。
浅三荘をまずダメなところを修繕する。そして、修繕したうえでシェアハウスにすべく改修する。そんな計画である。
ということで、浅三荘の改修内容を紹介して行こう。
屋根改修工事30%
まずは屋根工事。浅三荘はすさまじい雨漏りをしているのである。
これが最優先である。これをやらなきゃ、いくら直しても雨漏りで朽ちてしまう。
が、足場を組んでの工事になるので、もっともお金がかかる工事でもある。そして、改修というよりは修繕なので、工事しても見た目上「良くなった!」ともならないのが悲しい所。
超重要だけれど、マイナスがゼロに戻る工事なだけにちょっと悩ましいところである。
土台・柱改修工事30%
屋根工事と同様に修繕の二台巨頭。超重要な工事が土台と柱の交換である。
これもかなりの規模の工事である。
なにせ、一回建物をジャッキアップして浮かせるのである。そして腐った柱と土台を交換するという…神(大工)の所業と言ってもいいだろう。
これをしないと建物の構造が健全化しない。地震だって心配であるし、建物がぼこぼこの歪んだ状態も治らない。
これも、建物をこれから活用するという前提で考えると絶対やらなきゃいけない工事である。
この二つで工事内容(工事費)の60%を使ってしまうことになる。
設備改修工事20%
次に重要なのが設備改修工事。つまりは劣化した水道管などを修繕する工事である。
これもやらなきゃ台所とかトイレが使えないのでやらざるを得ない。
屋根・土台・設備が「必須工事」である。
見た目うんぬんじゃなく、建物が使える状態にならないからだ。
この3つで工事費の80%を使い切ってしまう計算である。
ううう。。。
電気工事10%
そして残りの20%でようやく浅三荘をドレスアップする工事、つまりは木賃アパートとして快適性を増す工事。シェアハウスとして使えるようにする工事である。
雀の涙の工事費しか残っていないのである。
電気工事として主に、昔の建物で圧倒的に少ないコンセントを増やし、エアコンを設置できるようにコンセントを設置する工事などをする。
また、凍結防止ヒーターのコンセントなんかも取り付ける工事を行う。
内装工事10%
電気工事も半分は修繕の部類になるが、内装工事の10%はやっとこ「快適性を増す工事」のみである。
台所、洗面所、リビングを整備する。それでも、改修で発生した端材など使えるものは使いまくって、これだけしか残っていない費用なので、最低限の改修である。
ゼロからプラスにする工事なら工事費予算をめちゃくちゃドレスアップに使えるのだけれど、朽ち始めたマイナスの建物をゼロの状態に戻すのに大半を使ってしまったことから、これだけしかお金が残されていなかった。
これ以降は徐々に直していくしかないのが悲しい所。
DIY工事extra%
そして、それだけじゃ全然改修が終わっていないのである。実は。
上記の工事は技術が必要なので工務店さんにガッツリお願いする内容だが、これだけじゃ全然改修工事が終わっていないのである。
なのでDIYもたくさんやる。
内装の塗装や外装の塗装なんかもDIYでやるし、畳や襖の交換などはエクストラ改修である。
なんてこったいだ。
実はこれで2階しか直せていないんです。
ということで、貧乏人一人で始めたポルトマツモト事業。
これだけのお金と労力を注入しても実は2階しか直せないんです。
1階も直すとしたら2倍のお金が必要で、無理でした。
ちょっと、大物に手を出し過ぎた感が否めない。
が、木賃アパート「浅三荘」好きになっちゃったんだから仕方がない。
ホステスに貢ぐ人たちの気持ちってこんなんなんだろうか。
最低限の生活費以外は全てポルちゃんに投入している。
いや、私財なんてもともと無いから、実のところ全額借金である。今後返して行かなくちゃならない。
いやはや、ほんとにとんでもないもんに手を付けちゃったもんだぜ。
はたして、数年後、ポルトマツモトは残っているんだろうか。
いやいや、少なくとも数十年残して後世にバトンタッチするつもりでやってるんだった。
頑張ります。