浅間温泉と信州大学(旧制・松本高等学校)
信州大学はその昔、現在のあがたの森公園にありました。
戦前は旧制・松本高等学校と言われていました。このころの雰囲気を知るには北杜夫の「どくとるまんぼう青春記」を読むと参考になるかもしれません。
浅間温泉から松本高等学校までは4㎞ほどの距離。歩いて1時間弱です。
ただ、徒歩だけでなく、あがたの森の目の前からは1924年~1964年の40年間は松本電鉄浅間線という路面電車が通っていたため、さらにその距離間隔は近いものだったでしょう。
また、当時の学生は芸者遊びなんかもしたわけですが、浅間温泉と松本高等学校の間には横田遊郭(その後、新浅間温泉、現在は横田温泉)があったので、ちょっと遊びに寄ることも多々あったのではないかと。
(これらはすべて記録があったわけでなく憶測ですが、少なくとも何人かはそんな暮らしをしていたでしょう)
当時は大学生と言えば知識層ですから多くの文人墨客が逗留していた温泉街である浅間温泉や美ヶ原温泉に入り浸り、または実際に暮らしたというのも想像に難くありません。
温泉街は旅館という華やかな部分もあれば、そこで働く従業員の住処としての下宿もたくさんあったはずで、他のエリアと比べても学生が投宿が沢山あったはずですから。住居に困らなかったわけです。
これは戦後の話ですが、ポルトマツモトのお仲間の篶竹荘も昭和2~30年代に建てられた「学生」下宿です。
このころはまだ、大学があがたの森にありましたが、4㎞離れた温泉街にも学生下宿がすでに存在したことからも、浅間温泉での学生下宿の需要が高かったことがうかがえます。
(これらはすべて記録があったわけでなく憶測ですが、少なくとも何人かはそんな暮らしをしていたでしょう)
そして戦後、信州大学に名前を改められ、1973年にはあがたの森から現在の旭へキャンパスが移されました。
大学からはより浅間温泉が近くになったわけです。
この頃になると浅間温泉には学生専用の下宿が増えてきました。
もともと他所から出稼ぎに来る労働者、つまりはよそ者が多かったことからも、外部の人間を受け入れる土壌もあったのではないかと思っています。
旭キャンパスから浅間温泉の中心部まではわずか2㎞。自転車で行けばすぐの距離です。
当時は浅間温泉の中にもスーパーがありましたし、ほんの最近まで学生が行くような食堂もたくさんありましたから、学生が暮らすのに何不自由なかったわけです。
学生の街としての浅間温泉のこれまで
ところが2000年代に入って学生の街としての浅間温泉はなりを潜めてきました。
それは、プライベートを重視する暮らし方に移行したことに寄ります。
浅間温泉にあった学生向けの下宿はいわゆる浅三荘のような木賃アパート。(20年前の大学生時代は木賃アパートに友達が何人か住んでいました)
よほどの好き者でないかぎり、そんなところには住みたくない世代です。
そうなると浅間温泉の共同住宅では設備が古すぎます。
徐々に学生の街としてのイメージは薄れていき、時が流れるにつれ、世代が交代してきて、後継者がいないような学生食堂がどんどんなくなって行きました。
ほんの10年前ほどの出来事です。
それまでは本当に大学生がたくさん浅間温泉に住んでいたのです。
いまでも、大学生は他のエリアと比べてたくさん住んでいますが、最近の大学生がメインで住むエリアを聞いたところ、やはり利便性のいい大学周辺に住むということでした。
浅間温泉も近くて温泉という最大のアドバンテージがあるんですけど、温泉よりも近い所に魅力を感じるのかもしれません。
学生の街としての浅間温泉のこれから
ただ、10年ひと昔というくらいですから、最近、一周回って再び、木賃アパート、今で言ったらシェアハウス的な暮らしが若者の中にも一般化してきたような気がしています。
せっかく地方の大学に来たのですから都会の大学生とは違って毎日温泉に入れる下宿というのも新鮮で二度とない機会とも言えます。
再び浅間温泉が学生街、下宿街として復活する土壌が今揃っているのではと考えます。
実際に、大学生や幅広い年齢層が訪れる「浅間茶房」はいつも賑わっていますし、ちょっとオシャレな大学生が立ち寄れるようなカフェも増えてきました。
それでいて、一つ家に帰れば温泉三昧。
こんな唯一無二の場所が他にはありましょか。
というわけで、浅間温泉にもっと学生が住んでもらって、安くておいしい定食屋なんかが復活してほしいなと思っています。
ポルトマツモトの中の人はそんな定食屋が好きなのです。
引いては自分のために学生街に浅間温泉をしたい。
一時期と言えども若い人が住んでくれたら、一気に浅間温泉が明るくなるんじゃないかとも思いますし、担い手不足のお祭りなんかも賑やかになる気がします。(実際、自分が大学生のころは浅間温泉のたいまつ祭りにサークルを挙げて参加していましたし、今もそのサークルは毎年何十人規模で参加しています)
どうですか?学生の街として浅間温泉が復活したらわくわくしないでしょうか?
そんなわくわくを実現したいのです。
昔からの住民が暮らして、毎年学生が来て新しい風を吹き込み、観光客でも賑わう浅間温泉。
そんな街になってくれたらいいなあと思っています。